心筋症と闘う広島男子と英国女子の記録

2015年4月に国の指定難病である「特発性拡張型心筋症」を発症。 大阪大学病院にて補助人工心臓(Heart MateⅡ)装着手術を受け、心臓移植待機者となる。 その間、発症からの心境を記したこのブログを開設する。 2016年には高校教師として社会復帰を果たし、現在は移植医療の啓発と闘病中に見つけた『人生で本当に大切なもの』を伝えるために広島を中心に介助者でもある英国女子のパートナーと共に活動中。

植込型補助人工心臓ってなんじゃ。「Heart mateⅡ」な生活

その白いケーブルの中に血が通ってるん?

お風呂とかって入れるの?

そのカバンには何が入ってるん?

え、てか何がどうなっとん?というかどしたん?

 

今年の8月下旬に植込型補助人工心臓を入れて今までに多くの人からたくさんの質問をいただきました。「今、心臓どこにあるん?も、もしかしてそのカバンの中?」と真顔で聞かれたこともありました。笑  

それもそのはず... この植込型補助人工心臓による治療が日本で本格的に導入されたのはほんのここ数年で諸外国に比べ手術数もそれに関する情報もあまりにも少ないからです。私もこの病気になるまでは補助人工心臓なんて聞いたこともありませんでした...。

重症心不全を引きこおす拡張型心筋症や虚血性心筋症などの心臓の難病は発症自体が珍しいものですが、私のように今までピッチピチに健康だった人間も突然発症する恐ろしいものです。


というわけで、今回は私と知り合いとなってしまった機会に是非ともこいつと共に過ごす1日を知ってもらえたらと思います!!

 

まず、植込型補助人工心臓ってこんな感じ。

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いつも持ち運ぶカバンの中身の正体はこれ。

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楕円形のものがコントローラー、2つの四角いものがバッテリーです。心臓は入ってません。笑 これらは私の種類「Heart mateⅡ」だと約3kgぐらい。
そしてコントローラーから伸びる白いケーブルがお腹の中に入り、心臓に取り付けられたモーターのような機械に繋がって電力を送っています。てなわけで、白い線はただの電力ケーブルです。

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そして、もう一つ大切なのはこれ!
バッテリーをチャージする機械と就寝中にバッテリーの代わりに電力を供給する本体の機械の2つです。

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それでは、1日の流れを紹介したいと思います。

朝の起床

私が目が覚めてまずすることは、機械のモニターのチェック。
きちんと正常に動いているか数字を確認します。異常な数字の場合は即、病院へ連絡することになっています。(毎日、記録表に数字を書いて外来の日に提出します。)

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そして、本体に繋がっている先っぽが黒と白のケーブルをバッテリーに繋ぎ替えます。これで自由に行動ができます。就寝中にバッテリーが無くなっては大変なので、寝る時は必ず本体のケーブルに接続します。(バッテリーは2本同時使用で10時間くらいは持ちますが、念のため。)

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本体に繋がっているケーブルを、バッテリーに繋ぎ替え。ピー!ピー!と鳴り響くアラームに耐えながら行う毎朝の儀式です。

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そして、毎朝体重をチェックします。2、3日で急激に体重が増えた場合は心臓の動きが弱まり、体に水が溜まっている可能性があるため、病院へ連絡することになっています。私は今のところ幸い退院後から変化なしです。

 

日中の生活

常にコントローラーとバッテリーが入ったカバンを持ち歩く生活です。コントローラーからお腹に入る白い線はとても短いので、引っ張らないように、物に引っ掛けないように慎重に行動します。外に出る時は、白いケーブルやバッテリーのケーブルが人や物に引っかからないように細心の注意を払います。

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大半の人は外出の時もカバンを持って行くみたいですが、私は肩が凝るのが嫌なので、違うものをつけて外出します。カバンはどれも専用のものを使います。ちなみに外出時は常に予備のバッテリー2つとコントローラーを持ち運びます。これが面倒くさい...。最近は自分で持つようにしていますが、退院したての頃は体力がなくて、いつも相方や母に持ってもらっていました。 

 

シャワー

湯船に湯をためて...ゆっくり浸かる...。そんなことは移植手術を受けれる日が来るまでお預けです。専用の防水カバンに入れて、お腹のケーブルが入っている部分に防水シールを貼り付けてシャワーを浴びます。シャワー中もカバンや防水シールの中に水が入らないように気を配ります。そして、シャワーが終わると、慎重に着替えをして元のカバンに戻します。この一連の作業が面倒くさすぎてシャワーが今では大嫌いです....。笑

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消毒

1日3回食後に薬を飲むのは当たり前ですが、この機械をつけていて一番気をつけることは、白いケーブルが入ってるお腹の部分からの感染症だそうです。感染がひどいと最悪の場合は命を落とす可能性もあります。そこで、1日1回必ず下の用品を使って、お腹の部分をしっかり丁寧に消毒します。f:id:moai9rin3DK:20151207165044j:plain

就寝

バッテリーから本体へケーブルを切り替えます。一度本体へ繋ぐと行動が制限がされるので、トイレなどは済ましておきます。私は何か欲しいものがあれば、相方に「今、接続中で動けないから、〜を取ってきて。」と言っては都合よく利用しています。笑 夜静かな場所にいるとたまに心臓の拍動とともにシュイーンというモーター音が聞こえます。あー、血が回ってるんだなぁっと。笑

ちなみに、ケーブルは左の腹部に入っているため寝返りは右方向にしか取れません。。。ケーブルを引っ張らないように基本的には真っ直ぐでほとんど動けません。これは結構苦痛です。笑  寝相悪い人はどうしてるんだろうか...。

 

ザッとこんな感じの1日です。慣れというのはすごいもので、人間は置かれた境遇にうまく適応して生きていけるんだなーと感じています。(他人事...笑)

 

植込型補助人工心臓は移植までの期間に薬などの内科的治療では命が持たないと考えられる重症心不全患者に用いられるもので、私もそのうちの一人です。

発症後はベッドからほとんど動けなかったのが、今では退院して外に出れるまでに回復しました。ただ残念なことに、これは病気が治って心臓が回復したのではなく、機械の補助のおかげで心臓が動いているだけなのが現実です。根本的治療には今のところ心臓移植しかありません。中には機械をつけることによって起こされる感染症、合併症のリスクによって、移植までに辿り着くことなく命を落とされる方も大勢おられます。
また、日本の長すぎる移植待機期間などの移植医療の問題だけでなく、日本では内臓疾患による身体障害の事もあまり認知されていません。

それでも、医療の進歩のおかげでこうやって元どおりに近い生活を送れるようになったのは本当に嬉しい限りです。

 

最後はちょっとかたくなりましたが、このブログをきっかけに小さな小さな一歩ですが、多くの皆さんにこの病気を知ってもらい、またこの治療を受ける方の参考になれば幸いです!!おしまい!